総論(目的、対象、方針、留意事項)「1~9」

カテゴリ:Shiro-shishin矢ケ崎 2006年7月29日

【目的】
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《要点》
☆株式会社は、会社法により、計算書類の作成が義務付けられている。
☆中小企業の会計に関する指針(以下「本指針」という。)は、中小企業が、計算書
 類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を示すものである。
☆このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される。とり
 わけ、会計参与設置会社が計算書類を作成する際には、本指針に拠ることが適当で
 ある。
☆このような目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする。
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《本文》
1.中小企業の会計一計算書類の作成義務
  株式会社及び持分会社の会計の原則は、会社法第431条及び第614条において一
 般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとするとされているととも
 に、会社計算規則の定めるところにより、適時に正確な会計帳簿の作成と計算書
 類(株式会社にあっては、賃借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び
 個別注記表)の作成が義務付けられている。この一般に公正妥当と認められる企
 業会計の慣行のひとつとして、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準(以
 下「会計基準」という。)かおる。会計基準においては、中小企業の特性を考慮し
 た簡便的な方法が設けられている場合もあり、また、会計実務では、具体的な規
 定か会計基準において定められていないような場合など、一定の状況下では、法
 人税法で定める処理が参照されている。

2.本指針作成の経緯
  旧商法では、計算書類の作成に関して、総則の商業帳簿の規定と、株式会社の
 計算の規定に定められているほかは、第32条第2順において「公正ナル会計|貢行
 ヲ斟酌スベシ」とされていたものの、中小企業が適用することができる「公正ナ
 ル会計|貢行」とは何かが十分には明確になっていないと指摘されていた。そこで、
 中小企業が、資金調達先の多様化や取引先の拡大等も見据えて、会計の質の向上
 を図る取組みを促進するため、平成14年6月に中小企業庁が、「中小企業の会計に
 関する研究会報告書」を発表した。また、これに呼応して、平成14年12月に日本
 税理土合連合会が「中小会社会計基準」を、平成15年6月に日本公認会計士協会
 が「中小会社の会計のおり方に関する研究報告」をそれぞれまとめ、その普及を
 図ってきた。本指針は、これら3つの報告を統合するものとして、平成17年8月
 に公表されたものである。
  今般、会社法会社法施行規則及び会社計算規則の制定に伴い本指針の見直し
 を行うものである。

3.本指針の目的
  本指針は、中小企業が、計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処
 理や注記等を示すものである。このため、中小企業は、本指針に拠り計算書類を
 作成することが推奨される。
  また、会社法において、取締役と共同して計算書類の作成を行う「会計参与制
 度」が導入された。本指針は、とりわけ会計参与が取締役と共同して計算書類を
 作成するに当たって拠ることが適当な会計のおり方を示すものである。このよう
 な目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする。
  もっとも、会計参与を設置した会社が、本指針に拠らずに、会計基準に基づき
 計算書類を作成することを妨げるものではない。
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《コメント》
1.文面について不明な部分、理解できない部分はありません。

2.「望ましい」「推奨される」について
  目的には「計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計処理や注記等を
  示す」「中小企業は、本指針に拠り計算書類を作成することが推奨される」
  とあります。
         「この指針に拠ることが望ましい」
         「この指針に拠り・・・・推奨される」
  「強制ではないが拠ることを推奨する」この言い回しをその指針以外で見つけ
  ることは困難なことです。
  
  たとえば会計基準の基本である「企業会計原則」の「目的」には
  「・・・・企業会計の基準を確立し、維持するため、まず、企業会計原則を設
  定して、我が国国民経済の民主的で、健全な発達のための科学的基礎を与えよ
  うとするものである。」
  また、「企業会計原則」の項目には
  「・・・・必ずしも法令によって強制されないでも、すべての企業がその会計
  を処理するに当って従わなければならない基準である」
  と書いています。

  「中小企業の会計に関する指針」の立ち位置の軟弱さを感じてなりません。企
  業会計原則も強制規定ではありません。会社法で言う「公正な会計慣行」の一
  つです。また、今回の「中小企業の会計に関する指針」も公正な会計慣行の一
  つと思います。ただ、その対象が中小企業ということだけです。

  としたら「望ましい」「推奨する」の表現はいかがなものかと思います。せめ
  て、もう少し「強い意志」を表現しもいいのではないでしょうか。

3.「一定の水準」について
  「このような目的に照らし、本指針は、一定の水準を保ったものとする」とい
  う言い方は「この中小企業の会計に関する指針は一定の水準を保っていますよ」
  言い換えるなら「この指針のレベルは一定の水準ですよ」です。どこの世界に
  今から定める基準や指針を自分で評価して「一定の水準を保っていますよ」な
  んて宣言する人がいますか?

  一定の水準かどうかは、使う人が判断することです。それをあえて条文の中で
  表現する意図は何でしょうか。やはりこの基準の足腰の弱さを感じます。
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【対象】
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《要点》
☆本指針の適用対象は、以下を除く株式会社とする。
 (1)証券取引法の適用を受ける会社並びにその子会社及び関連会社
 (2)会計監査人を設置する会社及びその子会社
☆特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、本指針に拠ることが
 推奨される。
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《本文》
4.本指針の適用対象とする株式会社
  本指針の適用対象は、以下を除く株式会社とする。
  ①証券取引法の適用を受ける会社並びにその子会社及び関連会社
  ②会計監査人を設置する会社(大会社以外で任意で会計監査人を設置する株式
   会社を含む。)及びその子会社
  これらの株式会社は、公認会計士又は監査法人の監査を受けるため、会計基準
 に基づき計算書類(財務諸表)を作成することから、本指針の適用対象外とする。

5.特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社
  特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、計算書類を作成
 するに当たり、本指針に拠ることが推奨される。
  本指針では、本指針の適用対象となる会社を中小企業という。
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《コメント》
1.文面は問題ありません。読んで字のごとくです。

2.「推奨される」について
  「・・・・推奨される」については、「目的(前記)」でもふれましたが、こ
  の指針の足腰の弱さの現れ??
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【本指針の作成に当たっての方針】
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《要点》
☆企業の規模に関係なく、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるべきであ
 る。しかし、専ら中小企業のための規範として活用するため、コスト・ベネフィッ
 トの観点から、会計処理の簡便化や法人税法で規定する処理の適用が、一定の場合
 には認められる。
☆会計情報に期待される役割として経営管理に資する意義も大きいことから、会計情
 報を適時・正確に作成することが重要である。
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《本文》
6.会計基準とその限定的な適用
  中小企業に限らず企業の提供する会計情報には、本来投資家の意思決定を支援
 する役割や、利害関係者の利害調整に資する役割を果たすことが期待されている。
  投資家と直接的な取引が少ない中小企業でも、資金調達先の多様化や取引先の
 拡大等に伴って、これらの役割が会計情報に求められることに変わりはない。そ
 の場合には、取引の経済実態が同じなら会計処理も同じになるよう、企業の規模
 に関係なく会計基準が適用されるべきである。本指針は、基本的に、このような
 考え方に基づいている。
  しかしながら、投資家をはじめ会計盾報の利用者が限られる中小企業において、
 投資の意思決定に対する役立ちを重視する会計基準を一律に強制適用することが、
 コスト・ベネフィットの観点から必ずしも適切とは言えない場合かおる。そこで
 は、配当制限や課税所得計算など、利害調整の役立ちに、より大きな役割が求め
 られる。また、中小企業においては、経営者自らが企業の経営実態を正確に把握
 し、適切な経営管理に資することの意義も、会計盾報に期待される役割として大
 きいと考えられる。本指針では、その点も考慮して、中小企業が拠ることが望ま
 しい会計処理や注記等を示している。

7.法人税法で定める処理を会計処理として適用できる場合
  法人税法で定める処理を会計処理として適用できるのは、以下の場合である。
  ①会計基準がなく、かつ、法人税法で定める処理に拠った結果が、経済実態を
   おおむね適正に表していると認められる場合
  ②会計基準は存在するものの、法人税法で定める処理に拠った場合と重要な差
   異がないと見込まれる場合
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《コメント》
1.「税務基準」と「指針(会計基準)」の関係
  個別処理の問題は今後検討しますが、その内容を見ると、法人税の考え方を優
  先してきた会計処理は、会計を優先して考えた処理と同じ場合はそのままです
  が、それ以外はことごとく否定されています。

  会社の決算と法人税の課税所得の計算は、その間に加算・減算の申告調整を介
  入させることによってのみ、その因果関係を保つことが出来ます。

  一つの例ですが、減価償却費について法人税の取扱は「損金経理をした金額の
  うち、税法で計算した減価償却限度額に達するまでの金額は損金の額に算入す
  る」したがって、会社が償却費を計上しなければ損金の額に算入しないだけで
  あり、しなくて残った金額は翌事業年度以降に順繰りに遅らせることが可能で
  す。言い換えれば法人税に取扱は「減価償却費の計上は任意」ということです。

  しかし、この指針では減価償却は強制です。なおかつ、過去における減価償却
  不足額は、この指針の適用において一括して計上しなければなりません。困っ
  た事態です。今まで赤字決算の連続で減価償却前でも赤字が大きいような場合
  は減価償却費の計上は差し控えてきた事例が多くあります。

  会計理論上はもちろん費用配分の原則に従って各会計期間(事業年度)に配分
  しなければなりません。そこに恣意性が介入することを許していません。

  このようなことが今回の指針では数多く発生しています。

  従って、先ほども言いましたが、
      まず第一       会計の基準に従った決算
      その数字に対して   税務の加算・減算の調整
      その結果として    税務の課税所得
  という構造がより鮮明になりました。
  
  もともと、法人税の所得の計算は各事業年度の益金の額から損金の額を控除し
  て算出します。便宜上会社の決算(商法決算・会社法決算)をスタートライン
  にしてきただけです。加算・減算の手続きは以前からありました。今回、その
  部分がより鮮明になったということです。
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【本指針の記載範囲及び適用に当たっての留意事項】
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《要点》
☆本指針はすべての項目について網羅するのではなく、主に中小企業において必要と
 考えられるものについて重点的に言及している。
☆本指針で記載されていない点については、「本指針の作成に当たっての方針」の考
 え方に基づくことが求められる。
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《本文》
8.本指針の記載範囲
  中小企業が計算書類を作成するに当たり拠ることが望ましい会計処理を網羅的
 に示すことは、およそ不可能である。そのため、本指針では、特に中小企業にお
 いて必要と考えられるものについて、重点的に言及している。
  したがって、実際の適用に際し、本指針に記載のない項目の会計処理を行うに
 当たっては、「本指針の作成に当たっての方針」に示された考え方に基づくこと
 が求められる。

9.本指針の適用に当たっての留意事項
  本指針では、項目ごとに「要点」が枠書きで示されているが、これは本文で記
 載されている事項の要約を簡便に記述したものである。したがって、実際の適用
 に際しては、「要点」の記述のみならず、本文で示されている事項も参考にするこ
 とが求められる。
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《コメント》
1.文面に問題はありません。
2.参考書等によると、ここから重要性の原則に結びつけている書籍もありますが、
  文面を読む限り「網羅していない」ということが書いてあり、書かれていない
  項目は「方針」の考え方による、と読めるだけです。
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参考
「中小企業の会計に関する指針」

投稿者 yaga : 16:32 | コメント (0) | トラックバック(0)

「Shiro-shishin矢ケ崎」のオープン

カテゴリ:Shiro-shishin矢ケ崎 2006年7月25日

1.会社法と中小企業
2006年5月1日に会社法が施行されました。ここ何年かにわたり大きく変
化してきた会社法制の最終編のようなものです。

会社法の施行によって中小企業計算書類の信頼性を確保するために会計参与の
制度が導入されました。

かつて金融機関が中小企業に対し融資をするときの最重要項目は企業の担保能
力、個人保証であり、個人資産の担保提供等のような最終段階の保証でした。
どちらかというと、いざというときの回収可能額が最重要だったのです。

しかし、現在ではその注目度にもまして、企業の経営状態、損益状況、キャッ
シュフローといった返済能力に重きを置いています。

今、企業では
☆株主、金融機関、取引先、仕入先等のステークホルダーからの信頼を維持す
 るために、財務諸表の信頼性を確保する
☆計算書類の積極的な開示を行う
☆財務諸表だけでなく管理会計を含めた会計そのものを企業経営に活用し、経
 営の有効性、効率性を確保する。
☆法令等を遵守する。
等の認識が高まっています。

このような見地から企業は従来の税務を優先した決算のパラダイムから脱却し
第一義的には企業会計の立場(会社法や計算書類規則等)から計算書類を作成
することにより、会計処理における整合性を確保し、恣意性を排除します。そ
の次に税務調整(法人税法等の検討による加算減産手続き)により課税所得を
計算します。

本来法人税においては課税所得と決算利益は申告調整によって整合性を持たせ
ていたことは周知の事実です。しかし、あまりにも税務を優先するあまり、本
来債務に計上しなければならないものを計上できない例(貸倒引当金の例)や、
本来の繰延資産でない前払費用を繰延資産という認識(受益者負担金等)をし
たり、いわゆる経理処理に対して影響が大という実態でした。

しかし、企業会計に対する認識が大きく変化し、その結果、計算書類の影響力
は、かつてのそれとは比較にならないほど拡大しました。

2.「中小企業の会計に関する指針」と中小企業
このような背景の中で、中小企業が財務諸表の信頼性を確保するためにはどう
すればいいでしょう。中小企業はそのよりどころがはっきりしないまま、税務
中心の会計処理、計算書類を作成と言うわけにはいかなくなりました。

         中小企業の会計に関する指針

が2006年4月に公表されました。この指針は「一般に公正妥当と認められ
る企業会計の慣行」という認識がされ、また、「会計参与が業務を行うときの
教科書」とも言われています。

内容を見て再び「ビックリ」しました。かつて日本税理士会連合会が公表した
中小企業会計基準(あえて税務優先の会計基準といいます)はことごとく否定
されホンの数項目にその残骸が残っているだけです。会計そのもののパラダイ
ムを変えなければなりません。

3.「Shiro-shishin矢ケ崎」の開設
そこで、今回より「矢ケ崎ブログ」の中で
             「Shiro-shishin矢ケ崎」
                     と言うカテゴリーを設けました。

「Shiro-shishin」の意味は素人のための会計指針という意味です。素人のた
めのパソコンを「shiro-paso」という名前をつけた関連で、あえて「素人」の
ための中小企業会計に関する指針です。

項目を一つ一つ検討してやさしく理解することに主眼を起きました。従って、
細部については省略する場合が多いと思います。また、矢ケ崎独特のコメント
は付しますのでそのあたりはご理解ください。

当初、別項目を立てようとも考えましたが、アップデートの簡便性を考慮して
「矢ケ崎ブログ」の中で1つのカテゴリーを追加する形にしました。また、ブ
ログですと皆さんコメントも掲載可能となります。疑問点等を書き込んでいた
だけると矢ケ崎ももっと勉強して意見を書き込まなければなりません。矢ケ崎
を遊ばせないためにも疑問点やコメントを多く書き込んでください。完成バー
ジョンになりましたら別の項目に移動することも考えています。

           
           「よろしくお願いです。」


投稿者 yaga : 13:35 | コメント (0) | トラックバック(0)