「内部統制の麻痺」

カテゴリ:MBA・経営支援士矢ケ崎 2009年3月31日

「内部統制の麻痺」

矢ケ崎です。

我が長野県上田市に本店を置く上田信用金庫で職員(元職員)の横領事件が明る
みになりました。信濃毎日新聞に掲載された一連の記事を配信します。

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◆上田信金で3億円横領 52歳の元男性職員、長期間にわたり(信濃毎日新聞)
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3月27日(金)

上田信用金庫(本店上田市)の御代田支店(北佐久郡御代田町)に勤務してい
た元職員の男性(52)が、預金3億円前後を横領していたことが26日まで
に、内部調査で分かった。上田信金は27日にも公表する。県内の金融機関の
横領額としては最大級の規模になる。

この横領について上田信金は財務省長野財務事務所(長野市)に届け出ており、
同事務所は事実関係の調査を進めている。元職員が刑事告訴されることも予想
される。

信金関係者らによると、横領は数年前まで「長期間」にわたったとされ、預金
者からの苦情を基に判明した分や、内部調査で把握した分があり、詳細な調査
に時間を要したという。

元職員は26日、信濃毎日新聞の取材に対し、事実関係を認めるかどうか明ら
かにせず、「いろんな見解、とらえ方があると思うが、わたしの意見はすべて
信金に伝えてある。信金の発表まではコメントを控えたい」と話した。

金融当局関係者は、横領額、当事者の役職、不正から発覚までの期間が長いと
いった点で「今回の事案は重い」とみている。

信金関係者は「(横領の)内容が分かったので速やかに公表する」とし、隠蔽
はしていないとの見解を示している。

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◆上田信金、巨額横領で役員処分、本・支店に「お詫び」(信濃毎日新聞)
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3月27日(金)

上田信用金庫(本店・上田市)の御代田支店(北佐久郡御代田町)に勤務した
元職員が預金3億円前後を横領したことが内部調査で分かったのを受けて、同
金庫は27日、上田市材木町の本店と全22支店の入り口付近に「不祥事件発
生のお詫び」と題した文書を掲示した。小林哲哉理事長ら役員7人と関係者を
処分したことが記されている。役員の処分は減俸などという。掲示に立ち止ま
る人は少なかったが、利用者からは驚きや疑問の声が聞かれた。

小林理事長名の文書は「当金庫元職員による不祥事件の事実が判明した」とし
ているが、不祥事の内容は明記されていない。「信用を第一とする信用金庫に
あって、不祥事件を発生させたことを深く反省している」としている。

本店のキャッシュコーナーに現金を下ろしに来た会社員の男性(33)は「一
生懸命働いて得た金を預けている。腹立たしい思い」と話した。

御代田支店を訪れた女性(57)は「不正が3億円にもなるまでなぜ分からな
かったのか」と首をかしげた。同町内で酒店を営む40代の男性は「零細企業
には信金が頼り。事情がよく分からないので事態を見守りたい」と話していた。

同金庫は、この日午後に記者会見を開いて今回の件について説明する。

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◆上田信金巨額横領、総額3億1400万円と発表(信濃毎日新聞)
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3月28日(土)

上田信用金庫(本店上田市)で明らかになった巨額横領で、上田信金は27日、
御代田支店(北佐久郡御代田町)の元支店長男性(51)が、顧客の預金や保
管金庫の現金など総額3億1400万円を横領していた-との調査結果を発表
した。元支店長は信濃毎日新聞の取材に「発表の通り」と事実を認めた。小林
哲哉理事長は記者会見で、業務上横領容疑で刑事告訴を検討する方針を示した。

上田信金の調査によると、元支店長は1991年6月-2003年9月、1人
の預金者から「書き替えのため」と偽り定期預金証書を預かって解約したり、
自分の名刺裏に金額などを記して「預かり証」とし、渡された現金を預金せず
に自分のものにしたりする手口で計109回、1億7700万円を横領。カラ
ーコピーして偽の証書を作り、気付かれないようにしていた。08年9月、預
金者から調査依頼があり、発覚した。

02年9月-05年3月には1億3700万円を横領。このうち9900万円
は、御代田支店の金庫に保管してあった札束から抜き取り、代わりに再生紙を
入れる手口だった。残る3800万円は、客に払戻請求書を1枚余分に書かせ、
払い戻しを装うといった方法で、3人の普通預金を横領した。

同信金によると、元支店長側はこれまでに7500万円を弁済。信金は横領の
事実を預金者側に伝え、全額弁済した。元支店長は横領金の半分以上を、知り
合いが経営する会社に個人的に融通していたという。元支店長は取材に「会社
を助けたい気持ちがあった」と話した。ほかに生活費などに使ったとしている。

1億3700万円分の横領は05年3月、金庫内の現金をチェックしたことを
端緒に発覚。上田信金は翌4月に元支店長を懲戒解雇した。だが、当時は「元
支店長から弁済させることを優先した」(小林理事長)とし、事実関係を公表
せず、刑事告訴の手続きも取らなかった。

上田信金は、05年3月発覚分について、当時の常勤役員7人を減給10-8
%3カ月、08年9月発覚分は、現在の常勤役員7人を減給30-10%2カ
月とするなど、役職員を処分した。小林理事長は「信用第一の金融機関として、
深くおわびしたい。再発防止、信頼回復に向け、役職員一丸となって取り組む」
と述べた。

※関連リンク
■上田信用金庫

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一連の記事を読んで、05年3月に発覚した事件を09年3月に事実関係を公
表した、上田信用金庫の対応に疑問が残ります。「元支店長から弁済させるこ
とを優先した」ためという説明ですが、金融機関の対応としては納得できるも
のではありません。

また、「1991年から2005年までの14年間にわたって3億1000万
円余りが着服されていた」という事ですが、内部の監査制度はどのようになっ
ていたのでしょうか。(「上田信用金庫の元支店長が3億円横領」信越放送の記事)

内部統制の目的は、業務の有効性・効率性の確保、財務報告の信頼性に確保、
コンプライアンス(法令等の遵守)、資産の保全の四つです。

今回の上田信用金庫の対応を見ると、「内部統制の麻痺」といわざるを得ない
状況です。

紙を束ねて現金を装う、預金証書の代わりに名刺を預かり書代わりに使う、預
金者からの調査依頼で事件が発覚、そして上田信用金庫の緩慢な対応。

証憑制度の一つである自己による報告と監査、モニタリングというような、本
来ルール化され運用されているべきものが機能していません。

いくら出城のトップが引き起こした事件とはいえ、20年弱もの長期間にわた
り組織活動に参加している誰もが不思議に感じなかったのでしょうか。

上田信用金庫の内部統制の仕組みはいったいどうなっているのでしょうか???

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投稿者 矢ヶ崎清 : 2009年03月31日 00:01

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